南大阪動物医療センターコラム

2012年11月 9日 金曜日

定期的に飲ませたい駆虫薬

  寄生虫という言葉にどんな印象をお持ちでしょうか。寄生虫でアトピーが治るとか、寄生虫ダイエットといった昨今の風潮には行き過ぎを感じてしまいますが、これは人に寄生する虫が人に寄生した場合の話です。

 犬猫の寄生虫が人に寄生した場合(異種寄生と言います)や、人が寄生虫の最終的な寄生先ではなく中間宿主となるような場合には、単に消化器系の症状や栄養学的な問題にとどまらず、大きな障害を引き起こし、命を脅かす場合も少なくありません。

 以前、人の犬(もしくは猫)回虫症が社会問題になったことがあります。公園などの砂場が犬や猫の排せつによって寄生虫の卵に汚染され、子供たちが砂を口にして感染すると考えられていました。しかし現在では、その大半が感染した飼育動物の排せつする卵が被毛に付着し、スキンシップで人の口に入る可能性が高いと指摘されています。

 さらに悪いことに異種寄生の場合、回虫は本来のように成虫にはなれずに幼虫のまま体内をさまよい、肝臓や肺、脳、眼球に入り込んで肝障害やせき、けいれん、失明などの重大な症状を引き起こします。

 寄生虫の一つ、エキノコックスは犬やキツネが終宿主の寄生虫で、人は中間宿主です。感染した動物の排せつする卵が誤って人の口に入ると幼虫となって何年もかけて人の肝臓内で増殖し破壊を続けます。このような動物の寄生虫で厄介なのは、動物に感染してもほとんど症状がなく、人に感染した場合に重症となり、有効な治療法がないことなのです。

 回虫卵の検便での検出率は50~70%といわれており、エキノコックスは普通の検査では検出できません。そこで、最近では犬猫に定期的に駆虫薬を飲ませることが推奨されています。

 終宿主に寄生する寄生虫は、駆虫薬でいとも簡単に駆除されてしまいます。元来、おなかに持っていても良い寄生虫などいるわけがありませんものね。


 



投稿者 有限会社南大阪動物医療センター

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