南大阪動物医療センターコラム

2013年1月26日 土曜日

命にかかわる猫の口内炎

人間の口内炎といえばアフタ性口内炎が代表的で、熱いものが染みて痛いものの、12週間すれば自然に治ります。しかし、猫のいわゆる慢性歯肉口内炎と呼ばれる病気は正に命にかかわる病気で、痛さも人間の口内炎の比ではありません。

ドライフードをカリッとかんだら「ギャッ!」と叫んで飛び上がるほど、食事を食べたくても食べられず、どんどん衰弱が進みます。症状は、口臭がひどい、口がふさがらない、汚いウミのようなよだれが出る、奥歯の後ろの粘膜がはれ上がってザクロのようになる―などで、歯が歯茎と接触する辺りで溶けてくびれる歯頸部融解病変が見られることもあります。

原因は十分に解明されていませんが、免疫系の障害や猫白血病ウイルス(FeLV)、猫免疫不全ウイルス(FIV)などがからみあって一つの病気を形成しており、歯周病は原因ではなく悪化させる要因と考えられています。

治療法も原因がはっきりしないため、さまざまな方法が試みられていますが、期待したほどの治療成果が上がらないことも多く、猫自身、飼い主、獣医師にもつらい病気といえます。

ステロイド、インターフェロン、ラクトフェリン、非ステロイド性消炎鎮痛薬などが用いられています。薬剤に対する反応が乏しい場合には、すべての歯を抜歯する全顎抜歯が有効なこともあります。また、粘膜がザクロのように腫れた部分をレーザーでとばす(蒸散)こともあります。

激しい痛みを放置すると痛みそのものが慢性化し、その後に様々な治療を施し口の状態が大きく改善しても、痛みだけが一生継続する問題があります。

口臭やよだれがひどければ、まずウイルスをチェックしてもらいましょう。病状の進行と慢性化を抑えるには先手必勝、早い時期からの治療が大切です。

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