南大阪動物医療センターコラム

2013年4月26日 金曜日

嘔吐が続く急性膵炎

 物を吐いてしまう「嘔吐」にはさまざまな原因があります。肝臓や腎臓などの異常、脳などの中枢神経の異常、そして胃腸の異常によるものです。必ずしも病的なものばかりでなく、食べたものに対する反応として体を守るために起きる生理的な嘔吐もあります。

 獣医師は飼い主の話を注意深く聞き、必要であれば血液検査やX線検査などによって、その原因を探ります。中でも急性膵炎は、その炎症の激しさと全身への影響の大きさ、診断の難しさ、治療の困難さから、最も厄介な病気と言えます。

 普通、急性膵炎は前兆もなく嘔吐が始まり、頑固に続きます。症状は見る見る激しさを増し、食欲もなく、強い腹痛が起き、炎症の影響が全身に及んで時にはショックを起こし死に至る場合もあります。

 膵臓は胃から十二指腸にかけて張り付くように存在する細長い小さな臓器で、消化液を作っています。この消化液にはたんぱく質や脂肪を分解する酵素が大量に含まれているため、膵臓は自分が作った消化液で、膵臓自身が消化されないよう幾重にも防御システムを持っています。

 それが逆流などによって破綻し自己消化が始まると急性膵炎になります。自己消化によって膵臓の一部が溶けると消化液が周りに漏れ、周囲の組織へどんどん広がり、膵臓の周囲の脂肪組織までもが消化され、局所的な腹膜炎が起き、全身に炎症が飛び火していきます。

 診断はレントゲン検査やエコー検査、血液検査などを総合して行いますが、最近では「TLI」などの特別な膵炎の指標も検査可能となっています。治療は、絶飲食によって膵臓を休め、水分と電解質を補給しながら回復を待ちます。

 動物の嘔吐が続き、痛そうに背を丸め、おなかをかばっているようなら、体の中では緊急事態が起きているかもしれません。

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