南大阪動物医療センターコラム

2014年1月22日 水曜日

つぶらな瞳を保護する涙

   人でも動物でも、常に涙腺からは涙(涙液)が分泌され、眼球の表面を潤し続けています。涙液の膜(涙液膜)で覆われることによって、角膜は乾燥から保護され、透明でフレッシュな状態に保たれるのです。ところが、涙液の分泌量が減少してしまい、角膜や結膜が乾燥して激しい炎症を起こすことがあります。これが「乾燥性角結膜炎」です。
 涙液膜のほとんどは涙腺から分泌される涙液の層(液層)ですが、実は角膜の上に液層がうまく乗っかるように薄い粘液の層が角膜上皮と液層の仲を取り持っているのです。さらに液層の表面には皮脂層と呼ばれる薄いあぶらの層もあって液層を壊れにくくしています。涙の膜は3層からできているのです。
 この液層の分量が不足すれば、うまく涙液膜が保てず、角膜は空気にさらされて乾燥します。そうなると細菌が繁殖し、結膜までが炎症を起こし、妙に粘り気のあるふき取りにくい目ヤニがまぶたやまつ毛にベタベタと付着することになります。角膜は炎症を起こすと白く濁り、しばしば治りにくい潰瘍を作ってしまいます。ひどいときには角膜が完全に乾燥し、眼球にかさぶたができてしまうことがあります。 
 診断は「シルマーティアテスト」という方法を用います。まず、特別なスティック方のろ紙の端を折り曲げ、下まぶたに引っ掛けるように挿入します。そしてまぶたを閉じさせて1分間待ち、涙でぬれた長さを測定するのです。多くの犬は17~22ミリ程度ですが、10ミリあればほとんど症状は出ません。
 原因には、全身性の病気や薬物中毒などがあり、最も多いのがアトピーなどと関連した免疫介在性の涙腺炎です。治療には免疫抑制剤であるシクロスポリンの点眼薬や抗生剤、人工涙液を用いることになります。進行しきっていない免疫介在性涙腺炎の場合はシクロスポリンがよく効きます。
 何事も早めの対応が大切。澄んで一点の曇りもないつぶらな瞳ほど、かけがえのないものはありませんからね。

投稿者 有限会社南大阪動物医療センター | 記事URL