お皿の脱臼
小型犬のお皿の脱臼について

トイ犬種に見られる後肢の跛行の原因の多くは、先週にお話したレッグペルテス病と膝蓋骨の内方脱臼です。膝蓋骨は俗に「お皿」と呼ばれる膝小僧の骨のことです。大腿四頭筋の大きな力を靭帯が脛骨(スネの骨)に伝える時に靭帯の内側にあるお皿が大腿骨の滑車溝という溝の上を滑り、まっすぐに力が伝わるようにガイドの役割を果たします。このお皿が滑車溝の溝から土手を乗り越え内側に外れた状態を膝蓋骨の内方脱臼と言います。
トイ犬種では、一度外れ始めると自然に外れたり入ったりするようになることが多く、膝蓋骨の習慣性脱臼と呼びます。習慣性になる真の原因は分かっていませんが、遺伝性の疾患と考えられています。習慣性脱臼では歩き始める時やゆっくりと歩いている最中に自然にお皿がはずれ、何歩か歩くうちに勝手にお皿が元に戻るため、スキップをするような跛行や時々ケンケンをするような跛行が見られます。この状態が長く続くと、お皿は勝手には戻ることができなくなり、内側に脱臼したままの状態になりますが、痛みを伴わないため跛行が見られなくなります。さらに月日が経過すると、大腿骨や脛骨が脱臼したお皿に合わせてS字状に変形してくるため、正常な歩行ができなくなります。このような進行は最初に習慣性になった時期が発育期間中であれば急速に短期間で進みます。また、肥満犬ほど早い傾向があります。
治療は外科手術を実施することになります。習慣性脱臼のうちであれば、脱臼が脛骨の内転を伴って起きることから、その内転を抑える手術を実施することで脱臼を防げます。完全脱臼のまま長期経過した動物では、お皿の靭帯(膝蓋靭帯)の脛骨への付着部分(前脛骨稜)を骨切りして移動させたり、S字に変形した大腿骨を骨切りしてまっすぐにするような侵襲の大きな手術が必要になります。愛犬が異常を訴えてくれている早期に対応することが大切です。



